9月8日(日)10:00~12:00
今年度の「博学連携(博物館と学校の連携)」のテーマは食物連鎖。伊藤学芸員の指導のもと海洋プランクトンの顕微鏡観察をおこなった後、水族館内で「食べる生き物、食べられる生き物」という視点でスポットガイドをしました。
-スポットガイドのポイント
オリエンテーション(進行: )
(1)柴先生あいさつ
(2)ワークシート配付し、今日のプログラムの流れを説明
(3)グループの活動場所に移動する(各担当者が誘導)
海洋プランクトンの観察
(1)東海大学伊藤先生からの説明
(2)プランクトンの観察
双眼実体顕微鏡25台×2人(児童優先で)
水族館内の観察、スポットガイド
(1)プランクトン、イワシ、アジ、サメは、ピラミッドの
どの位置になると思いますか。
(2)4つのグループに分かれて見学を開始する
A 海洋水槽 サメ
(1) [提示情報]
・魚類としてはエイなどとともに、とても古いタイプの魚と言われている。
・硬い骨は、口の周りにしかない。他の部分は柔らかい骨(軟骨)で体を支えているので、歯の骨しか残らない。
・歯は、奥から次々と生えてくる。歯が折れたりすると後ろの新し
い歯が現れる。
・魚食(肉食) シロワニ、ドチザメ
(2) [観察ポイントと解説]
①食べ物 自分より小さな魚を丸飲みする。
歯をノコギリのように動かして、獲物を切り刻む。
②天敵 シャチ より大きなサメ
③身の守り方 速く泳ぐ。獲物を追うときにはとても俊敏に泳ぐ。
(3) [問いかけ、トピックス]
Q1 海洋水槽のサメは、他の小さな魚を食べてしまわないのだろ
うか。
A (水族館的な答え)食べない。お腹がすくと食べてしまうので、お腹が減らないようにちょうどいい時間にエサをあげている。お腹がいっぱいなら他の魚を襲うことはない。
・胎生。胎仔は胎内で共食いし、全長1mほどに育ってから産まれてくる(シロワニ)
・体が弱った魚を見つけると、後をスーッと付けて泳ぎぱくっと食べる。
B 一般水槽 マイワシ アジ
(1) [提示情報]
・小さいときはシラスと呼ばれる出世魚。他にイナダ → ワラサ → ブリなど。
・プランクトンはイワシに食べられる。イワシはアジに食べられる。アジはさらに大きな魚(ブリなど)に食べられる。
・イワシは、体側に縦に並ぶ黒い斑紋がある。アジは、尾ヒレのつけねからエラにかけてある堅い鱗「ぜいご」がある。
(2) [観察ポイント]
①食べるもの 口を大きく開けて泳ぎ、鰓耙でプランクトンをこして食べる。
②天敵 アジ、イカ、サバ、カツオ、サメ、海鳥類、クジラなど
③身の守り方 密集して一斉に泳ぐ。姿が大きく見えたり、ねらいが定めにくい。
(3) [問いかけ、トピックス]
Q1 群れで動くときにリーダーはいるのですか?
A 魚の群れにはリーダーはいないと考えられています。研究(エーリッヒ)によると、接触刺激という器官があり、この働きにより常に近づき、触れ合いながら海中を泳いで密集群を作っているようです。
したがって、誰がその進路方向を決めるわけではありません。よって、外敵や人間が数匹に刺激を与えますとその数匹は逃げようとしますが、それと同時に群れ全体が同じ動きをします。
・イワシを漢字では「鰯」(魚偏に弱い)と書く。一匹だけでは弱いが、みんなで群れを作ることで、身を守っている。絵本「スイミー」のモデル?
・「目刺し」も「煮干し」も主にカタクチイワシを原材料にしている。
・節分に鰯の頭をヒイラギ(柊)の枝にさし、戸口に立てる習慣がある。節分に訪れる鬼がヒイラギの棘で目を刺し、鰯の臭いで逃げ出すようにという魔よけ。
C 深海生物 チョウチンアンコウ
(1) [提示情報]
・誘引突起(イリシウム)の提灯(エスカ)を光らせることによって餌となる魚をおびき寄せる。背びれが変形して提灯になったと言われている。
・チョウチンの先にあるフサを「エスカ」と呼ぶ。このエスカを振って獲物を誘い、エサだと勘違いしてやって来た小魚を飲みこむ。これは発光する性質の細菌で、この菌をフサ(エスカ)に住まわせている。蛍の光はルシフェリンという化学物質で、ホタルは細菌を飼っているわけではない。蛍の発光とチョウチンアンコウの発光の仕組みは違うもの。
(2) [観察ポイント]
①食べるもの 提灯(エスカ)を光らせ餌となる魚をおびき寄せて食べる。
②天敵 自分より大きな魚 サメなど
③身の守り方 提灯(エスカ)の明かりを照らして姿を消す。
(3) [まとめの解説]
Q1 なぜオスはメスにくっついて生活するのですか?
A 広く暗い深海でオスとメスが出会える確率は少なく、一度出会えてもまた出会えることが出来ない可能性のほうが大きいためだと考えられている。
・体の小さなオスは、メスに出会うとメスの体に噛み付き、離れないように寄生する。噛み付いたオスは同化。血管でつながり精子を供給するだけの器官となる。
・深海では、動く物は全てエサ。目の前で動いていたら、パクッと食べてしまう
D くまのみ水族館 クマノミとイソギンチャク
(1) [提示情報]
・イソギンチャクと共生の関係にあり、住みかとして、また捕食者からの避難のために利用している。イソギンチャクにとってもクマノミが触手の間を泳ぐことで新鮮な水を入れる、イソギンチャクを食べるチョウチョウウオからイソギンチャクを守るなどいろいろな説はあるが、はっきりとはしていない。
・クマノミは横縞。釣り上げて口が上・尾が下の状態で、縦縞か横縞を決める。
・卵を持ったクマノミは、人が入ってくるとゴーグルをつついたり、耳をかじってくる。またヒレを使って卵に新鮮な水を送るなど子ども思いの面が見られる。
(2) [観察ポイント]
①食べるもの エビの仲間(アミ)やプランクトン、イソギンチャクが食べ残したものを餌としている。
②天敵 クマノミ:自分よりも大きな魚
イソギンチャク:チョウチョウウオ(ポリプ食)
③身の守り方 イソギンチャクに毒針があるので天敵から守ってもらえる。
(3) [まとめの解説]
Q1 クマノミはイソギンチャクの毒をさわっても大丈夫なのですか。
A クマノミは、毒が効かない(耐性がある)ので平気。クマノミは体表から出す粘液にイソギンチャクが反応しない成分があるので、毒が効かない。
・カクレクマノミの性別は固定されていない。生まれてからすべてオスとして育ち、群れの中から一番大きくて丈夫な個体がメスに性転換します。
・名前の由来は、歌舞伎役者が顔に描く「隈取り」からきていると言う説が有力。体色の鮮やかなコンストラストから「隈の魚(クマノミ)」=「隈の模様の魚」
・クマノミは1つのイソギンチャクに、家族みんなで仲良く暮らしているように見えますが血縁関係はない。卵からかえったクマノミの赤ちゃんは、泳ぐ力があまりない為、イソギンチャクから離れ、しばらくの間は海の中で漂った生活をおくりその後、まったく別のイソギンチャクに辿り着き、両親でも兄弟でもないクマノミと一緒に暮らします。
・ハゼとテッポウエビも同じような共生関係にある。キラキララグーンに展示してあるので、ぜひ見て下さい。
まとめ
(1)講堂に集合
・集合したグループから、アンケート用紙を配付する
(2)全員がそろった時点で、簡単なふりかえりを行う(川村)
・食物連鎖のピラミッドの確認をする。・質問があれば、
伊藤先生が対応する。
・次回のアナウンス
(3)終了